長期優良住宅の長期修繕計画に定める「定期点検」とは?制度上の位置づけと実務的な考え方
長期優良住宅は、「長期にわたり良好な状態で使用できる住宅」として、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき、所管行政庁の認定を受けた住宅です。
この制度では、住宅の性能そのものだけでなく、計画的に維持保全が行われることが前提とされています。
その維持保全の中心となるのが、長期修繕計画(維持保全計画)に位置づけられた定期点検です。
本記事では、長期優良住宅における定期点検について、制度上の位置づけと実務上の考え方を整理して解説します。
長期優良住宅における長期修繕計画(維持保全計画)の位置づけ
長期優良住宅の認定にあたっては、将来にわたり住宅を良好な状態で使用するため、
- 点検
- 補修
- 修繕
- 更新
を含む維持保全計画を作成することが求められています。
この計画は、「いつ・どの部分を・どのように管理していくか」を示すものであり、定期点検は、その基礎となる管理行為と位置づけられています。
定期点検とは何か【制度上の整理】
長期優良住宅における定期点検とは、住宅の性能に重大な影響を与える部分について、劣化や不具合の有無を定期的に確認することを指します。
定期点検は、突発的な不具合や重大な劣化を未然に防ぎ、計画的な修繕につなげるための確認行為です。
法令・指針との関係
関係法令および国土交通省の指針では、
- 定期的に点検を行うこと
- 点検結果を踏まえ、適切な維持保全を行うこと
が示されています。
ただし、点検の具体的な周期や方法が全国一律の数値として義務付けられているわけではありません。
点検の時期や内容は、維持保全計画の中で、住宅の仕様や使用状況に応じて合理的に設定することが求められています。
定期点検の対象となる主な部位
定期点検の対象は、住宅の安全性・耐久性に大きく関わる部分が中心です。
構造躯体等
- 基礎、柱、梁、床、壁など
- ひび割れ、腐朽、劣化、蟻害等の有無
原則として目視による確認が基本であり、
床下や小屋裏の点検口から確認できる状態であることが前提となります。
雨水の侵入を防止する部分
- 屋根
- 外壁
- バルコニー
- 開口部周辺
雨水の侵入は構造耐力の低下につながるため、
定期点検において特に重要な項目とされています。
給排水設備
- 給水管・排水管
- 設備機器周辺
漏水や詰まりなど、
居住性や建物劣化に影響する不具合の有無を確認します。
定期点検の時期・頻度の考え方
定期点検の時期については、
- 維持保全計画で定めること
- 建物の仕様や使用状況に応じて設定すること
が基本です。
実務上は、10年前後を目安として計画される例が多いものの、これはあくまで一般的な運用例であり、法令で一律に定められたものではありません。
定期点検の実施者と記録の重要性
定期点検の実施者について、法令上、特定の資格が必須とされているわけではありません。
ただし実務では、
- 建築士
- 施工会社・工務店
- 住宅点検を専門とする事業者
など、専門的な知見を有する者が行うことが一般的です。
また、点検結果については、
- 点検内容の記録
- 劣化状況の整理
- 必要に応じた修繕時期の見直し
を行い、維持保全計画に反映させていくことが重要とされています。
定期点検を行わない場合に考えられる影響
定期点検が適切に行われていない場合、
- 劣化の把握が遅れる
- 結果的に修繕費用が大きくなる
- 維持保全が不十分と判断される可能性
といった影響が考えられます。
また、状況によっては、所管行政庁から是正指導等を受ける可能性がある点にも留意が必要です。
※ 直ちに認定が失われるものではなく、運用は行政庁の判断に委ねられます。
まとめ
長期優良住宅における定期点検は、
- 維持保全計画に位置づけられた基本的な管理行為
- 構造・防水・設備といった重要部位を対象とする
- 周期や方法は計画に基づき合理的に設定するもの
です。
定期点検を通じて住宅の状態を把握し、必要に応じて修繕計画を見直していくことが、長期優良住宅の制度趣旨に沿った適切な維持管理と言えるでしょう。
参考文献・根拠資料
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行令
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則
- 長期優良住宅認定基準
- 長期優良住宅 維持保全の指針(国土交通省)
- 長期優良住宅 認定マニュアル(戸建住宅編)
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律

